新しいことをやろうとすると“とりあえず”反対する人がいる
まちづくりにはさまざまな人が関わっています。ビルオーナー、テナント、商店街、お店や街を訪れる人たち、そして住民。街の利用の仕方も立場もバラバラです。そこには、会社のような上下関係や雇用関係はありません。だから、何かひとつのこと、とりわけ新しいことを始めるのはとても大変です。そして、そういう時はたいがい“とりあえず”反対する人が出てきますよね。そんな時、リーダーや発起人の独断で進められないのもまたまちづくり。参加者の合意を得なければ進められないことがほとんどです。すると、小さなことをひとつ決めるにも時間がかかり、物事がなかなか進まないのです。
まずは、目的なき“箱”をはじめにつくります
オクズミ商事は自由が丘のまちづくりを推し進めるさまざまな会合、集会、組合に参加し、時に主宰者となり組織作りに注力してきました。私たちは、物事を決めるためには真っ先に“箱”を作ることが重要だと考えています。たとえ目的が定まっていなくてもです。まずは組織を作り、方向性が決まっていなくても先に動き出すことによって“とりあえず反対する人”を巻き込む。まちづくりにおける組織では、いかに皆の合意を取るか、ではなく、自然と“決まっている状態”を作り出すことが大切なのです。

気づいたらどの街も同じような顔をしている
初めて訪れる街でも、見慣れたコーヒーショップ、コンビニ、ファストフード、薬局などが並び、「なんだかどこも同じ顔ぶれだな・・・」と思ったことはありませんか。街は違っても同じ味や同じ雰囲気が得られると安心、便利。それも分かりますが、見知らぬ街へやってきた時のワクワクや街の個性は、一体どこへ行ってしまうのでしょう。
まちづくりはデパートと同じ。テナント選定も自分たちで行います。
「まちづくりって、デパートと似ているな」と時々思います。このデパートにどんなお店が入っていたらお客様により喜んでもらえるか・・・。オクズミ商事は“まちづくり会社”であり、ビルオーナーでもありますが、所有するビルのテナント選定は自らリサーチしアプローチすることを基本としています。ビル単体の損益や優位性よりも、そのテナントが入ることで街がより魅力的になるかどうかが判断基準。そのジャッジが自分たちでしっかり行えるよう、他の街や商業施設を常に視察し市場調査を行っています。

まちづくり、きっと“誰か”がやってくれる
街のことは行政の仕事。とりあえず税金だけ払っておけば・・・・と、一般的な市民はつい思ってしまいますが、実は商店街の一員やビルオーナーとしてまちづくりに携わっている人でもあっても同様。行政や鉄道会社、デベロッパーの方々に参加していただく場面も多いからこそ、「あとは行政に・・・」とか「きっと“誰かが”なんとかしてくれるはず・・・」と思ってしまうのです。
会議や集会は「円卓」で行います
私たちが主宰する集会や会議は、「円卓」を使って行うようにしています。授業や講演会を聴く時のように机を横に並べたりはしません。皆が参加者全員の顔が見渡せる空間を作り、その言葉の通り「同じテーブルにつくこと」によって、「主催者」と「参加者」という上下関係を作らず、全員を「主体者」にすることができます。行政、民間、住民、誰であっても同じ立場で発言しやすい環境を作ると、誰かのリーダーシップに頼ることなく意見やアイデアをスムーズに引き出すことができるのです。

突然、ナゾの彫刻やモニュメントが出現する
駅前広場や民間施設の前でよく見かける“アレ”のことです。ナゾの裸体像、ムダに大きいモニュメントや噴水・・・思わず「誰か何のために?」と言いたくなってしまいますよね。彫刻などだけでなく、○○会館や○○センターといった施設そのものも、誰のために作られたのか分からず、実際ほとんど使用されていないものをよく見かけます。
まずは“意識改革”いきなりモノは作りません
誰のために?何のために?ということを深く追求せず、他の街でもやっているからという理由で安易に作ったり、形を残すことがまちづくりの成果だと勘違いしがちです。しかし、ハードを整えても、そのハードを大切に思えない、使わない、共有財産になっていかないでは結局、負の遺産になってしまいます。私たちがプロジェクトを立ち上げた時は、まず参加者の意識改革から始めます。『サンセットエリア』の細街路を改装した際には、勉強会だけに2年を費やしました。何を作るか、どんなものを作るかの答えは熟考を重ねる中から自然と導き出されていくもの。もしかしたら、何も作らないという結論だってあるかもしれません。まちづくりとは、そもそも時間がかかること。そして終わりもない。オクズミ商事はその覚悟を持って自由が丘という街と向き合ってきました。

みんなの言うことを聞きすぎて“なんでもないモノ”ができてしまう
「意見をまとめる時は多数決で」「それぞれの立場に立って考えて」・・・私たちは子どもの頃からそう教えられてきました。しかし、そんなふうに何をやるにも全員の意見を尊重し角が立つことを恐れていると、結局あとになって「これって、誰がやりたかったんだっけ?」となることが多々あります。出来上がったモノも、可もなく不可もなく誰にとっても“普通”なモノになってしまったり・・・。まちづくりに限ったことではないかもしれませんが、コミュニケーションの中から答えを出すことは、イコール、皆の意見を聞き入れることではないのです。
敵をつくることを恐れません。すると、“意味のあるモノ”が生まれます
決して「誰の意見も聞かない」ということではありません。きちんと全員の話に耳を傾けたうえで、明確な答えが浮かんだ場合は、ちょっとやそっと反対されてもめげません。その方が結果、大多数ではないかもしれないけれど、確実に誰かのためになるものや心に届く結果を残すことができる。時に敵を作ってしまう時もありますが、それでも私たちは意味のあるモノづくり、小さくても結果を確実に積みあげていくまちづくりにこだわっていきたいと思っています。

なかなか信用してもらえず、うわさや陰口がすぐ広まってしまう
まちづくりのプランには、成功を絶対に保証する“安心パック”はありません。だからこそ、長年の経験を生かし、ありとあらゆるパターンを想定し、市場調査を経て計画や指針をご提案しますが、「それって本当?」「なんだか胡散臭いかも・・・」と思われてしまうこともしばしば。また、まちづくりの活動はボランティアや、自分たちの資産を持ち寄って運営している場合も多いので「おたくの利益になるからそんな事言っているのでは?」と陰口を叩かれたり、根も葉もないうわさ話を立てられたり・・・。一般企業のような分かりやすい雇用関係や上下関係がないからこそ、コミュニケーションは何段階も難しくなってくるのです。
“街の相談窓口”に撤しています
自由が丘には約400のビルがあります。そのぶんビルオーナーの数も多く、オクズミ商事はその中のひとつ。街のために出来ることは小さなことだけなのかもしれません。けれど、そういう小さな相談や悩みが集まってくる相談窓口のような存在でありたい、といつも思っています。自由が丘の街にオフィスを構えて○○年。年間を通じていくつものイベントや活動に有志で参加し、自分たちのビジネスや損得を超えた領域でまちづくりにコミットしてきました。住民の方からは「奥角さんって、よく街をウロウロしていますよね(笑)」なんて言われることがあるのですが、見かけたらぜひ気軽に話しかけてください。私たちのプロジェクトは意外とそんな立ち話の中から生まれることばかりなのです。

まちづくり、気がつくといつも同じメンツの集まり
同じ土地のまちづくりに長年携わっていると、活動の会議や集会に参加するメンバーは自然と固定され、いつもお馴染みのメンツが集まっている、という状況になりがちです。それは決して悪い訳ではなく、長い時を経て築きあげた互いの信頼があるからこそ忌憚のない意見が交わせたり、それぞれの経験値も上がっていくというメリットがあります。しかし、メンツが固まり過ぎてしまうことは、活動に関心のある若者や新しく街にやってきたメンバーを無意識でも遠ざけてしまうことになる、ということを忘れてはいけません。「完璧に出来あがっている輪の中に飛び込むの得意です!」なんて人、いないですよね。
若者も素人もウェルカム!
まちづくりには終わりないからこそ、未来をより強くイメージできる若者をどんどん巻き込んでいきたいと考えています。それと、まちづくりに携わっていない人、つまり、街に“お客様”としてやってきた方々の率直な言葉も大事です。自由が丘では毎月のようにイベントが開催されていて、私たちも運営に携わっていますが、それらのイベントはまちづくりに対する様々なヒントが得られる大切な機会として捉えています。オクズミ商事も代表が世代交代したばかり。改めて風通しの良い環境づくりを目指していきたいと思っています。

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